zakka story vol.6
“We need the rain”
サンフランシスコは雨が降りません。日本から長い傘を1本と折りたたみ傘を1本持って来たのですが、6月から12月まで、この傘を使った記憶はたったの3回!「サンフランシスコって雨が降らないんだね」と、ここに長く住む友人に尋ねると、そんなことはない、との答え。それでも、私にとっては、雨が降らない街というイメージがつきまといます。雨降りの日は家にいるのであれば嫌いではありません、むしろ好きなほうかもしれません。雨が空から落ちるときの自然のリズム、窓に水の玉がついていく感じ……まんざらでもないです。ただし、外出をしなければならないとなるとちょっと気持ちがブルーになります。かわいい傘でも持たなければ、やってられない気分です。けれども、これだけ雨が降らないと、雨の日に洋服や靴を濡らしながら、大変な思いをして出かけるのも、悪くないな、と思ったりします。ようは、雨が恋しいのですね、確実に。
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ダウンタウンに「ギャップ・ボディ」という、ギャップのインナーウェア専門のお店があります。そこには、ボディコロンやら、ボディクリームやらが少しだけ売っています。ちょうどハンドクリームを切らしていたので、なにか買おうと見てみたところ、「rain check」という名前の香りのものがありました。正確に言うと「雨天順延」という意味の名前なのですが、“レイン”という言葉の響きに魅かれ、思わず手に取りました。肝心の香りは、そうですね、ほんのり、ソーダっぽい匂いでしょうか。雨のニュアンスがあるといえばあります。
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また別の日に見つけたのは、「FIRST RAIN」という香りのディフューザー。「pier 1 imports」というインテリアショップのセールコーナーに並んでいました。これは、ガラスボトルにルームコロンが入っていて、そこにさしたアシ製のスティックをつたって、香りが部屋に広がるしくみ。こちらもさわやかな、やさしい匂いです。リビングのインセンスコーナーに早速セットしてみました。
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そして、もうひとつ。たまたま降りたバス停の前で偶然見つけたグロッサリーストアにあった、ポップコーンを雨にみたてたパッケージの「ケトルコーン」。かわいくてユーモアたっぷり、これを食べたら雨が降るかしら、そんな気持ちで買ってみました。

こんな風に雨が恋しい日々を送っていたら、降りました、降りました。2月に入ってから、まるで梅雨のように、何日も降り続いたりします。街中でのあいさつは「今日は雨で大変ね、でも私たちには雨が必要だから……」。“We need the rain”というフレーズを皆が使います。それから、サウサリートの自然の中に住む、クッキングスペシャリストの友人が、仲間たちにメールを送って来ました。内容は、雨が降ってうれしい、という挨拶と、自作の雨の詩”BE THE RAIN “(Neil Youngの唄にちなんでいます)……。皆、気持ちは同じなのですね。

というわけで、相変わらず雨は降り続いています。長い傘はもちろん、ハンターの長靴も、マッキントッシュのゴム引きのコートも活躍しています。でも、やっぱり、雨降りの日の外出は大変で、あまり好きではないかもしれません……。